兵庫県 教職員の勤務時間適正化 先進事例集 前編

文部科学省が「学校における働き方に係る緊急提言」を発表する前から学校教職員の勤務時間適正化に取り組み、時間外労働の削減を試みている兵庫県。今回はその事例集を抜粋していきます。

ここに掲載する先進事例には勤務時間適正化を推進するためのヒントがたくさんつまっています。それぞれの取組を参考にしながら、各校、各教育委員会の実情に合わせた勤務時間の適正化に取り組んでください。また、掲載されている先進事例以外にも多くの学校、教育委員会において、先進的な取組が実践されています。それらの先進的な取組を共有し、実効性の上がる取組とすることで、勤務時間の適正化がより一層推進されることを期待します。

教職員の勤務時間適正化 先進事例集

教育委員会からトップダウンで指示をしても学校毎の勤務実態に合わなければ、適切な効果は得られません。この取り組みを参照し、各学校でアレンジすることで自校にフィットする事例が増えていくことでしょう。

周りのために早く帰る

教職員の勤務時間適正化 先進事例集 西宮市立東山台小学校
教職員の勤務時間適正化 先進事例集

ただ単に帰宅を指示するのでは、現場の実態を無視してしまいがちで、仕事をためこむことによるプレッシャーや終わらない仕事が増えていくことが想定されます。周りが帰らないと自分が先に帰りづらいなど、空気を読むことが是とされることも問題とされていました。学校では個人情報の持ち出しは厳しく制限されているため、学校で働かざるを得ないことも、今の時代の働き方をしづらいルールとなっています。
ICTの活用で安全に外でも校務データを扱えるようになれば、こういった課題は減っていくことだと考えます。
東山台小学校では、学校管理者である校長が熱心にコミュニケーションを取り、定時で帰宅する重要性を説いています。定時で帰宅できない・しないのは自分の問題だけではなく、周りのためにもならないため、配慮をもって取り組んでいくコミュニケーションを取ることで、少しずつでも定時退勤が浸透するようになってきました。

業務を可視化して効率化のPDCAを進める

教職員の勤務時間適正化 先進事例集 小野市立大部小学校
教職員の勤務時間適正化 先進事例集

小野市立大部小学校ではアナログな方法ながらも、PDCAを回すことで業務改善に取り組んでいます。ここでは業務や意識の「見える化」を行い、チーム全体での意識改革が進んだことでチームワークが生まれ、全体で協力して定時退勤を心掛けるようになったとのことです。
今まで取り上げてきたPostでもそうですが、「可視化」は改善を進めるには必須の要素です。勤務時間だけでなく、業務効率化状況も可視化することでより強力に改革を進められるようになります。
こうした業務実態の見える化は、Office 365 Educationに含まれるMicrosoft Plannerを使用することで、容易に可視化でき、個人だけでなく学年・チームや学校単位でどこでも業務効率化の取り組み状況を可視化することができます。

ICT活用によるペーパーレス化で無駄な業務を削減

教職員の勤務時間適正化 先進事例集
豊岡市立小坂小学校
教職員の勤務時間適正化 先進事例集

こちらはICTを活用したペーパーレス会議の実施です。ここ数年で民間企業においては会議のペーパーレス化が進んでいますが、学校でもそうした取り組みが必要となります。出席者数×ページ数の用意を担当者がする必要があり、印刷後にミスを見つけたら差し替えの手間が発生し、そして終わった会議資料は活用されないという非常に無駄な作業が発生するのが紙による会議です。しかも紙による会議は検索ができませんので、膨大な資料の中から探し出す必要があります。
キッチリと文書管理ができていれば検索性は改善されるのですが、そのような管理は学校においてするだけの余裕はありません。そしてこれらのしわ寄せはすべて教職員の勤務時間を圧迫することになります。

豊岡市立小坂小学校は、PCを使用したペーパーレス会議を実践し、コスト削減と時間短縮を実現できています。会議のルールやフォルダ管理を徹底することで会議に関する業務を全体で効率化することができました。
こうしたルールの変更や手持ちのリソースを有効活用することは、業務改善においても、非常に重要な要素です。業務改善する毎にコストがかかってしまっていては、元も子もありません。

ベテランから若手へのOJTでナレッジ共有

教職員の勤務時間適正化 先進事例集 小野市立市場小学校・小野南中学校
教職員の勤務時間適正化 先進事例集
教職員の勤務時間適正化 先進事例集 尼崎市教育委員会
教職員の勤務時間適正化 先進事例集

ナレッジの共有によるベテランから若手教員のOJTを行っています。若手教員は経験が少なくても、ベテランと同じ業務を行われなければならず、またみな忙しいため、先輩から経験や知識を吸収する時間もなく、一人で考え続けることになってしまいます。こうした知識や経験の共有を行い、成長を促すことで意識やモチベーションが向上し、さらには業務が効率化することでひいては時間外労働の短縮にもつながります。

なお、類似した話として、先まで長時間労働による疲弊が目立っていた物流業界も、同じようなことが起こっていたと考えています。サービス品質が向上し即日ものが届くようになり、社会は便利となったものの、そのために24時間フル稼働しなければならず、人材・経験不足に陥り、さらに配送品は加速度的に増え続け、限界を向かえていました。「物流機器」と呼ばれるこの現象は、今もまだ続いており、サービス品質の維持のため、対応範囲の縮小、人材獲得のため値上げなど、企業が動きつつも、現場ではITを活用して「新人でもベテランのナレッジを使って効率的な配送を実現」するようになっています。
教育現場でも同様に、国が指示するだけでなく実質的なルール・法改正に動くことが必要とされています。

業務ルールを共有して無駄を削減

教職員の勤務時間適正化 先進事例集 兵庫県立姫路特別支援学校
教職員の勤務時間適正化 先進事例集

ここでは、ユニバーサルデザインを採用しています。定型的な業務は同一のルーチンで行ったり同一のテンプレートを用いるなどすることで、「人によっていっていること・やっていることが違う」や「業務の手戻り」が削減されるので、情報伝達がスムーズになりチームで効率的に業務を行えるようになります。これにはITを活用してルールややり方をグループウェアなどで掲示したり、ワークフローなどで自動化するとより効果的に進めることができます。

今回は一旦ここまで。これで約半分の事例を抜粋しましたが、民間企業は古い体制の企業でも同じような問題を抱えているはずです。業務を改善するには、可視化や共有はもちろんのこと、不要なルールならば思い切って変えるという取り組みが必要で、一人ではなくチームで自分と周りのために行動することが必要であるといえます。

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