厚生労働省 勤務時間ガイドラインと学校現場の考察

勤怠マトリクス

学校における働き方改革で、勤務時間のガイドラインとなっている厚生労働省発行の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン」を参照しながら、学校現場でどのように勤務時間を管理するのか最適かを掘り下げていきます。
まず、同ガイドラインの趣旨を見ていきましょう。

労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している。しかしながら、現状をみると、労働時間の把握に係る自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの。以下同じ。)の不適正な運用等に伴い、同法に違反する過重な長時間労働や割増賃金の未払いといった問題が生じているなど、使用者が労働時間を適切に管理していない状況もみられるところである。このため、本ガイドラインでは、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにする。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン

一言でいうと、労働基準法に則り使用者が従業員の勤務時間を管理する責務を履行しなさい、ということです。一方で自己申告制の不適正な運用により長時間労働や残業代の未払いといった問題があるため、ガイドラインに則って労務管理を構築することを目的としています。
学校においては、労務管理は必要といえども、勤務時間管理などが行われていなかった背景があるため、俗人的ではなく法律に従って早期に管理機能を構築することを目指しています。

労務が発生する基準は次の通りであり、原則は使用者の指示がある時間は勤務とされています。

ア 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間

イ 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)

ウ 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン

しかし、給特法の影響により、学校においては部活動やテストの準備・採点などがいわゆる「自主的」に行われているとされる慣習となってしまい、長時間労働を生む温床とされていることが叫ばれています。
なお、2018年12月6日公開の「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」では、公立教師を「36協定」の適用対象とし、月の残業上限を45時間とするなど、労働基準法に合わせる動きを見せています。しかし、残業代の支払いもなく、特例により45時間以上の残業を容認するなど、問題の解決には遠いように見受けられます。

(2)上限の目安時間

① 勤務を要する日の在校等時間について、条例等で定められた1日の勤務時間を超えた時間の1か月の合計が、45時間を超えないようにすること。

② 勤務を要する日の在校等時間について、条例等で定められた1日の勤務時間を超えた時間の1年間の合計が、360時間を超えないようにすること。(3)特例的な扱い

① 上記(2)を原則としつつ、児童生徒等に係る臨時的な特別の事情により勤務せざるを得ない場合についても、勤務を要する日の在校等時間のうち、条例等で定められた勤務時間を超えた時間の1年間の合計が、720時間を超えないようにすること。この場合においては、勤務を要する日の在校等時間について、条例等で定められた1日の勤務時間を超えた時間の1か月の合計が45時間を超える月は、1年間に6月までとすること。

② また、1か月の在校等時間の総時間から条例等で定められた勤務時間の総時間を減じた時間が100時間未満であるとともに、連続する複数月(2か月、3か月、4か月、5か月、6か月)のそれぞれの期間について、各月の在校等時間の総時間から条例等で定められた各月の勤務時間の総時間を減じた時間の1か月当たりの平均が、80時間を超えないようにすること。

公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)

さて、話を戻しまして、使用者が講じる労務管理の方針として原則は下記のようになっています。

(2)始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。

ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。

イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン

要は目視か時間を記録する仕組みを使うといった方法になりますが、その次に続く「(3)自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置上記(2)の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずること。」で、労務管理の本質について説明されており、客観的に把握することが求められている学校では、負担を増すことになっています。

ア 自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。

イ 実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。

ウ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。

エ 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。

自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる 36 協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン

自己申告による報告は、自身で正しく報告することが前提としてあり、実のところ部活動や休日などで校外で労務を行う教員は自己申告が発生することが必然となりますので、何らか自己申告で労務管理をするルールを定めなければならないことになります。一つでも例外を許容することはルールが複雑化・形骸化の恐れがあり、働き方改革の妨げとなります。残業を少しでも抑制するため、学校においてはシンプルに運用できる管理体制が重要となるでしょう。学校における勤怠管理製品のマトリクスは下記の通りとなります。

勤怠マトリクス

また、「(5)労働時間の記録に関する書類の保存使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第 109 条に基づき、3年間保存しなければならないこと。」のように、データの管理も必要になります。取りまとめや管理といったルール制定も行う必要があり、データはどこかで一元管理・集約できるようにする体制も必要になります。

このように、民間企業向けに立てつけられている労働基準法をベースとしたガイドラインは、学校においては新たな負担増となる要素が含まれており、少しでもルールや方法の簡素化・電子化・標準化が必要と考えられます。ガイドラインに沿うことで検討が少しでも楽になるのは事実ですが、実態に則した運用ルールの制定ができると、より教育委員会や学校の負担も減るのではないでh草加。

勤怠管理と勤務時間可視化の違いとは

文部科学省 学校における働き方改革特別部会の調査の結果「『労働時間を正確に把握すること』が、「残業時間の減少」、「年休取得日数の増加」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資する。」と報告しています。
このことから、学校の働き方改革の実現のために、ICTによる勤務時間の可視化は重要な要素です。
NoverTiは、教職員個人、学校、教育委員会の3つの視点で、教職員の属性に基づいて分析できます。
教職員個人はご自身のことを、学校の責任者の方は自校の教職員の働き方を、教育委員会の担当者の方は管轄する学校の働き方を様々な属性から分析し、対策へと繋げられます。
レポートをクリックするだけで様々な切り口で自動で分析・集計できるので、勤務時間を記録するだけの運用よりも、ICTにより成果の見える働き方改革を日々実施できます。

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